「海底2万マイル」|蒸気の時代唯一のフルモジュールマップ!

 深海の闇を切り裂き、伝説の都市へと鉄路を伸ばせー
 数ある蒸気の時代の拡張マップの中でも異色作「20,000 Rails Under the Sea」(海底2万マイル)のご紹介です!

 プレイヤーは「ノーチラス号」さながらに未知の海底世界を開拓し、海底資源を運び出す鉄道事業者として名を馳せます。

 このマップの最大の特徴は、ゲーム中に7つのヘクスが合体したモジュールタイルをプレイヤー達が配置していくことによってマップが形成されていくという点にあります。「クランク!カタコンベ」のように毎回異なるマップとなるため、リプレイ性が非常に高く、先行きが見えないワクワクさがあります。

 しかしその反面、特殊ルールが結構多く、また敷設ルートや輸送商品量が非常に限られているため、序盤の展開次第では容易に詰むプレイヤーが出てしまうという、まさに「闇マップ」の名にふさわしい上級者向けマップです。
 一応、6人までプレイ可能ですが3人プレイが理想です。4人以上でやるとかなり苛烈な戦いになります。特に初心者の方を交えて遊ぶ場合は要注意です。

 こちらは2006年にドイツで開催された世界最大のボードゲーム展示会「シュピール・エッセン」で180部限定で販売された超レアな作品で、現在の入手は非常に困難です。
 私はこの作品の現物を所有していないのですが、BGGでリドロー画像をアップロードされていた方がいらっしゃったので、そちらをもとに自分好みにアレンジして作成しました。ヘクスタイルをの画像を印刷してスチレンボードに貼り付けてカット・・・という作業を20枚分も行いましたので、正直かなり面倒でした(笑)

 また、説明書の内容もネット上に全く出回っていないため、この記事の内容はBGGのフォーラムやSNSでの投稿をもと再構築したルールを前提としております。その細かい点でいくつか間違えがあるかもしれませんが予めご了承ください。

BGGのリドローのリンク先はこちら

目次

基本情報

スクロールできます
マップ名「20,000 Rails Under the Sea」(海底2万マイル)
プレイ人数3〜6人(ベスト:3人)
プレイ時間約120分〜
テーマ・舞台架空の海底都市
マップの特徴モジュールタイル式でプレイ中にマップが構築されていく
ルールの複雑さ★★★★☆
プレイ難易度★★★★★(MAX!)
デザイナーLudovic Gimet
(ルドヴィック・ジメット)

ルール

 以下は「20,000 Rails Under the Sea」(海底2万マイル)のルールの説明です。
 冒頭にもお伝えしたとおり、BGGやその他ネットの情報をもとにルールを推測してるものになります。また、蒸気の時代の基本ルールと同様の箇所については基本的に省略します。

セットアップ

 プレイヤー人数に応じて初期マップを作成します。
 モジュールタイルには都市名が書いてあるタイルと、番号が振ってあるタイルの2つがあります。このマップにおいてはこの2種類のタイルしか存在しません。

 前者のタイルにある都市は、商品を受け入れる専用の「陸上都市」で、後者は番号が振ってあるヘクスは商品の輸送専用の「海底都市」です(後述)。便宜上、前者を「陸地タイル」、後者を「海底タイル」と呼びます。

 プレイ人数に応じて陸地・海底タイル好きなように組み合わせ、海底都市に初期の商品をランダムに載せます。
 なお、タイル同士を組み合わせる時は、最低でも2辺は接するようにします。プレイ人数ごとのタイル・商品数は下記のとおりです。

スクロールできます
プレイ人数都市タイル配置商品コマ数
3人陸地タイル2枚+海底都市1枚海底都市に6つ
4人陸地タイル2枚+海底都市2枚2つの海底都市に4つずつ
5人陸地タイル3枚+海底都市2枚2つの海底都市に5つずつ
6人陸地タイル3枚+海底都市3枚3つの海底都市に4つずつ
3人プレイ用のセットアップ例です

 続いて、それ以外の海底タイルを全て並べます。陸地タイルは全て同じなので重ねて置いておけばOKです。

 なぜわざわざマップに未配置のタイルを並べるかというと、商品補充の特殊ルールにより、未配置のタイルの海底都市にも商品が追加されるためです。

 最後に商品ディスプレイに商品を配置します。このマップでは新都市は登場しませんので、通常の都市にのみ商品を載せてください。商品ディスプレイにコマがズレないようにオーガナイザーを使用されている方もいるかと思いますが、このマップではやめた方がいいです。理由は「フェイズⅨの商品補充」の項目で後述しますね。

以上でセットアップは完了です!

フェイズ0 新タイルの配置(ラウンド2〜)

 さて、特殊ルールが多いと言いましたが、いきなり最初から特殊ルールがあります(笑)
 ラウンド2以降、前ラウンドの手番順が1位だったプレイヤーは、未配置のタイルから任意に1つ選択して、マップ上のタイルに接続してください。

 競りに勝ったプレイヤーは次ラウンドに新タイルを1枚無料配置ができる特権が得られるため、非常に有利です。

フェイズⅠ 株式の発行

 基本ルールと同様で、手番順位に発行する株数を宣言し、お金を受け取ってください。1株=$5です。

フェイズⅡ 手番順決定

 基本ルールと同様に手番順を決定してください。

フェイズⅢ アクション選択

 本拡張マップに登場する特殊アクションは、全部で7つあり、そのうち「優先敷設」「優先輸送」「機関車」「パス権」は基本ルールと同様です。ここでは、本マップ限定の3つの特殊アクションについてご紹介します。

エンジニア

 基本ルールでは、このアクションを選択したプレイヤーは、最大で4枚の線路タイルを敷設できるというものでした。本マップでは「砂地」の地形に線路が敷設ができるようになります。砂地はフランスマップであった「険しい地形」と同様の特殊地形です。
 地形についての詳細は「フェイズⅣ 線路敷設」の項目で説明します。

探索

 基本ルールの「都市化」アクションに置き換わるものです。このアクションを選択したプレイヤーは、フェイズⅣの自分の手番の敷設前に$3を支払い、任意の都市タイルをマップに配置できます。
 前ラウンドで競りに勝ったプレイヤーは無料で都市タイルを配置できるのに対して、こちらはコストがかかります。ただし、自分の手番時にタイルを配置できるので、他プレイヤーからの妨害に強くかなり強力なアクションになります。
 このアクションをいずれかのプレイヤーが取ると、1ラウンドに最大で2枚のタイルがマップに追加されます。

拠点設置

 基本ルールの「生産」アクションに置き換わるものです。(このマップには生産アクションがありません!)
 このアクションを選択したプレイヤーは、町ディスクを1個のみ任意の線路タイルに配置するか、既存の線路タイルを町タイルに置き換えることができます。コストはどちらも$3です。
 このマップでは、その他のマップにある町ヘクスというものは存在せず、また新都市タイルもありません。つまり、完全にリンク数を増やす目的のために行います。

 ちなみに、BGGの投稿によるとどうもこのアクション、他人の線路タイルに対してもできるみたいなんですよね。もちろん、相手の路線を破壊したり方向を変えないというのは前提ですが。
 これにより、このアクションは輸送力を増やしていないプレイヤーの輸送を妨害するという非常に強力な攻撃手段となり得ます。

 まぁ、毎回このアクションを選択できる保証はないですし、そもそもこのマップ自体非常に苦しいのでわざわざ妨害のためだけにこのアクションを取りに行くというのも微妙ですが(笑)

フェイズⅣ 線路敷設

 さて、メインフェイズの片割れである線路敷設のルールの紹介です。おそらくこのフェイズが最も鬼畜な(笑)仕様になっているかと思います。
 説明することが多いので順番に解説していきますね。

地形と敷設の基本コスト

 まずは、地形と基本コストについて。
 このマップでは、線路敷設できるヘクスが「浅瀬「深海「砂地」の3種類あります。
敷設コストは「浅瀬」が$1「深海」と「砂地」が$2です。前述のとおり、「砂地」はエンジニアアクションを選択しなければ敷設できません。


 その他、町ディスク配置以外の置き換えや方向転換のコストは基本ルールと同様です。

敷設数とコストの支払い方法について

 次に敷設数とコストの支払い方法についてですが・・
 まず、このマップは手番中の敷設枚数に制限がありません。お金さえあれば何枚でも敷設可能です!
 ですが、そうは問屋が卸しません。1枚目の敷設は先の基本コストを支払うだけですが、2枚目以降はそのタイルの基本コストに加え、この手番でこれまで支払ったコストの総額が足されます。

 具体的に計算してみましょう。
 例えば、自分の手番になり、1枚目に浅瀬、2枚目・3枚目に深海に敷設をしたとします。すると全敷設の総コストは以下のようになります。

 1枚目・・・$1(浅瀬)
 2枚目・・・$2(深海)+$1(1枚目のコスト)=$3
 3枚目・・・$2(深海)+$4(1枚目・2枚目のコストの合計)=$6

 総コスト=$1+$3+$6=$10!

 狂ってますね(笑)
 上記の計算は最もオーソドックスなものですが、例えば単線から立体交差の置き換え($3)を3枚連続で行うと総額で$21もかかります!
 4人以上のプレイ人数になると、4枚目どころか3枚目を敷くのすらかなり厳しいです。

 ちなみに、プレイ中のコスト計算がとても面倒だったので、勝手にコスト早見表を作成しました。

 こちらに早見表のpdfデータを置いておきますので、良かったらDLしてご使用ください。A4サイズで両面印刷して、プレイエリアの横に置いておくと便利です。

 なお、その他の敷設コストについては基本ルールと同様です(方向転換や単線→複線等)。ただし、どのような敷き方であれ、2枚目以降の敷設にはそれまでの総コストが足されるというのは変わりません。

補足
①特殊アクション「探索」の$3は敷設ではないのでこの加算ルールは適用されません。
②特殊アクション「拠点設置」の町ディスクの配置は加算ルールが適用されます。
③町ディスクの配置や町ヘクスの置き換えは、特殊アクション「拠点設置」を取ったプレイヤーにしかできませんが、町ディスクのない線路を複線に置き換えたり、町ディスクが既に乗っているタイルや町ヘクスを別の町ヘクスに置き換えることは全プレイヤーが可能です。要するに、新たにマップに町を増やすことのみに制限がかかるということです。

その他の敷設ルールについて

ラウンド1の敷設制限
 各プレイヤーは、ラウンド1の線路敷設フェイズにおいて接続できる都市は1つのみ(町ディスクを配置して2リンクを作るのは可)です。これは、先発プレイヤーがラウンド1で多額の借金をし、手当たり次第に線路敷設をして後発プレイヤーが全く敷設できすに詰む、という状況を防止するためのルールです。

誰も接続していない海底都市への接続制限
 新たに配置された都市など、まだ誰も接続していない海底都市に接続する場合は、その都市に接続しようとする(始点となる)都市に隣接したヘクスから敷設しなければなりません。

 例えば、このラウンドの手番順が1位で、次ラウンドに自分が新タイルを配置する権利を獲得できる場合に、予めタイルを配置する場所付近まで線路タイルを伸ばしておき、新タイル配置後にその続きから敷設を開始する、ということができません。

 非常に狭いマップの中、新たなタイルを自分の好きな場所に配置するというアクションは非常に強力です。コストの安い浅瀬を中心に新タイルの都市にどんどん敷設をしていくと完全に独走状態となってしまうため、タイル配置をするプレイヤーにハンデをつけてバランスを保つためのものでしょう。

フェイズⅤ 商品輸送

 商品輸送は基本ルールとは大きく異なります。本マップでは基本ルールのように色付きの都市というのが存在しません。その代わり、輸送専用の海底都市受け入れ専用の陸上都市の2種類の都市が存在します。

 輸送は海底都市の上にあるいずれかの商品を、直接または他の海底都市や拠点(町)を経由しながら陸上都市に送ります。陸上都市は全ての色の商品を受け入れることができ、受け入れた商品は陸上都市の上に描かれ対応する色の商品置き場の場所に配置します。これ以降、この陸上都市は同色の商品を受け入れることができません(経由は可能)。

 陸上都市の上に5色全ての商品が乗った時に即座に5つの商品を商品バッグに戻します。その後、その陸上都市は再び全色の商品を受け入れが可能となります。

フェイズⅥ 収入受け取り

基本ルールと同様に収入を受け取ってください。

フェイズⅦ 経費支払い

基本ルールと同様に経費を支払ってください。

フェイズⅧ 収益低下

基本ルールと同様に収益低下があるプレイヤーは収益低下処理を行ってください。

フェイズⅨ 商品補充

商品補充のやり方はラウンド1〜4とラウンド5〜でそれぞれ異なります。

ラウンド1〜4

 配置済み・未配置関わらず全ての海底都市に対応する商品ディスプレイの一番上の商品を1つずつ補充します。ただし、その海底都市が配置済みかつ全プレイヤーの路線に接続されている場合、追加でもう1つ(商品ディスプレイの2段目)商品を追加します。

 その後、商品ディスプレイの商品を全て上にスライドし、代わりに空白となった場所に商品を追加します。
 ラウンド4までは商品ディスプレイの商品を頻繁にスライドさせるため、商品ディスプレイにオーガナイザーを使用しているとこの処理がとても面倒なんですね。冒頭でオーガナイザーを使用しないほうがよい、と申し上げたのはこのためです(笑)

ラウンド5〜

 基本ルールと同様に、プレイヤーの人数分のダイスを2回降って商品を補充します。本マップには「生産」アクションはないため、これ以降の商品輸送は全て商品ディスプレイに配置されている商品だけでおこなわなければなりません。

フェイズⅩ ターンマーカーを進める

基本ルールと同様にターンマーカーを進めてください。

まとめ

 いかがだったでしょうか?
 今回の記事では、蒸気の時代の拡張マップ「20,000 Rails Under the Sea」(海底2万マイル)をご紹介させていただきました。
 ルールが非常に複雑で序盤から終盤までずっと苦しいマップですが、その分やりごたえ満載です!

 アクリルタイルとの相性も抜群で、ゲーム終了後の盤面がまさに深海を探索した軌跡が残っているかのようでとても美しいです。初心者の方にはなかなかお勧めしづらいですが、「常軌を逸した蒸気がしたい!」という方はぜひ一度お試しください☆

 

 

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